はじめに
ある公開授業で、印象的な総合的な学習に出会いました。
4年生の子どもたちがアメリカザリガニをテーマに取り組むそのプロジェクトは、思考を深め、価値観を揺さぶる「生きた学び」の連続でした。
今回は、その授業から感じた「総合的な学習の力」について振り返ります。
経験と問いが重なる「学びの場面」
公開授業で見せていただいたのは、「ザリガニをどうするか?」を追究する4年生のプロジェクト。
自分たちで捕まえ、育て、背景にある課題(生態系への影響や農業被害)も調べたうえで、「駆除?活用?命の重みとは?」という問いに向き合っていました。
中にはザリガニを食用として提案するグループも。
実際に調理し、味を確認し、イベントでの提供の可否まで本気で議論していました。
子どもたちはこのプロジェクトの当事者であり、創り手であり、思考の旅の真っただ中。
リアルな経験から始まる問いこそが、学びに火をつけるのだと実感させられました。
総合は他教科を“燃やす”存在
総合的な学習というと、「手がかかる」「時間がない」という声も聞こえてきます。
実際に調査してみても、「道徳よりも実は総合のほうが進んでいないのでは」という実感を持っている先生も多いようです。
けれども──
総合で体験したことをもとにすれば、子どもたちは国語でも、道徳でも、社会でも、驚くほど主体的に学び始めます。
「自分の経験を誰かに伝えたい」という思いが、自然と他教科の学びにも火を灯していくのです。
主体性と学習サイクルをつくる鍵に
総合的な学習の大きな特長は、子どもたち自身がプロジェクトの中心にいること。
調べる、話し合う、発表する、計画する──それらを自分たちで動かしていく中で、自然と学習集団としての力が育まれていきます。
このような状態になれば、45分すべてを教師がリードしなくても、子どもたちが自ら学びを進めていきます。
その間に次の授業準備ができたり、学習設計に時間を使えたりするようにもなります。
もちろん教師の関与は不可欠ですが、「任せる力」を育てる総合は、働き方の面から見ても大きな武器になると感じました。
まとめ:火をつけるのは、日常の中の問いと経験
道徳、国語、社会、理科──すべての教科に熱を灯す総合的な学習。
それは、特別な行事ではなく、日々の小さな問いと経験から始まります。
「これってどうなんだろう?」
「自分たちで調べてみよう!」
「こうしたら、もっと伝わるかも!」
そうやって学びに火がついたとき、教室は本当に面白くなります。
だからこそ、今こそ一歩踏み出してみてください。
総合的な学習が、子どもたちも、教師自身も、動かす力になります。
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