日本の道徳授業を改めて問い直す

目次

はじめに

ここ最近、道徳の授業について深く考える機会がありました。

きっかけは、ある研究授業の公開参観。
子どもたちの反応や教材の扱い方を見ながら、
「いま、日本の道徳授業に必要な問い直しとは何か?」を考えさせられました。

これまでの学びや、オランダで見てきた教育現場との比較も交えながら、
日本の道徳授業を改めて見つめ直していきたいと思います。

道徳は「変化を先取りする教科」なのか?

道徳は、“変わらない価値”を扱う教科と思われがちです。
でも実際には、社会の価値観の変化に応じて先に変わるべきものでもあります。

法律が変わる前に、まず道徳が変わる。
それが、よりよい社会づくりにつながるという順序なのではないでしょうか。

たとえ「信頼」や「感謝」といった普遍的な価値であっても、
100年前と今とでは、その伝え方や捉え方には違いがあるはずです。

教材の“問い直し”が授業を変える

ある道徳の授業では、「なんでも感謝できるって素敵だよね」という
メッセージが伝わってくるような教材が使われていました。

でも、本当に「すべてに感謝すべき」なのか?
それを低学年の子どもたちと一緒にあえて立ち止まって考える
こうした「ひっくり返し」や「広げる」視点は、教材の価値を深めてくれます。

子どもたち自身の“問い”や“違和感”を起点にすることで、
より鋭く物事を見る目を養うことができるのではないでしょうか。

道徳授業の「型」と「場」を見直す

多くの道徳授業では、「教材を読んで全体で話し合う」スタイルが一般的です。
もちろん、全体で語り合う価値も大きいのですが──

・1対30の構図で、本当に一人ひとりの思いは汲めているのか
・静かに聞いている子の存在も、授業の一部ではないか
・グループでの対話は、十分に“磨き合い”になっているか

こうした視点から、授業の進め方そのものを問い直すことも必要だと感じました。

日本の道徳の「良さ」とは何か?

文科省のまとめによると、
海外では「市民性教育(シティズンシップ)」や「キャラクター教育」が主流です。

対して、日本の道徳教育は、
一つの読み物教材を通して、価値観や考え方を共有し合うという点に特徴があります。

これは日本独自の強みである一方で、
「価値を共有するとはどういうことか?」という問いを
私たちは今こそ深く考え直す必要があるのかもしれません。

まとめ:立ち止まって、道徳の本質を見つめ直す

今回の公開授業の参観は、
「道徳の授業ってそもそも何のためにあるのか?」を見つめ直す機会になりました。

授業のスタイル、教材の問い直し、そして教科としての存在意義。
どれも当たり前と思ってきたことに、あえて疑問を持つことで、
道徳の授業はもっと豊かになっていくはずです。

ラジオ登録のご案内

今回ご紹介した内容は、有料音声配信「まるしん先生の教育ラジオ」にて詳しくお話ししています。
教育に携わる皆さんの心に寄り添うラジオ、ぜひご登録ください。

👉 ご登録はこちらから:
https://stand.fm/channels/61f12f0a299c4d50055459a8

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次